九號「僕らにまつわるエトセトラ」絵が巧い2

僕らにまつわるエトセトラ (バーズコミックス ルチルコレクション)

僕らにまつわるエトセトラ (バーズコミックス ルチルコレクション)

絵がうまい繋がりで昨日に引き続き。BL。まず表紙に驚かされる、普通BLの表紙ってあまり動きがなくない?これは一瞬を描いてて上手いなあ。そして人物の表情も豊か。喜怒哀楽に分化する以前の微妙な表情の描き分け。台詞は説得力がないときもあるけど総じて絵がカバーしていると思った。
話は、交通事故に遭わせたのが負い目の元球児同士、タイプの違う高校生同士、作家と恩師の子、のみっつ、最後の話がよかった。メガネヒゲ若年寄が好きなだけなのかもしれないが。
作家と若者と気の強い編集者ってよくある組み合わせだ、行き倒れてた若者(後から恩師の子と判明)を家に上げるも、面倒事に頭が痛い作家

この握り締めてるやつが、本のカバーの著者近影で、

69年生まれ、98年に第34回文藝賞受賞とあり、思わずこれを書くに当たって調べてしまった。

第34回 (1997年) 鈴木清剛 「ラジオデイズ」、星野智幸 「最後の吐息」
第35回 (1998年) 鹿島田真希 「二匹」

ここら辺ですな。年齢やおされ度や話の内容から行くと近いのは鈴木清剛だな…。自分は最後の吐息最後の吐息 (河出文庫)が好き、誰かを思いっきり髣髴させる文体で。
あー閑話休題。絆は時間を一緒に過ごすことで出来てくるのだなという思いを新たにした、誰だって居場所求めるのさ、「誰かと寄り添って生きることは依存とは違う、求めることは人の性だ」と作中の回想で恩師が言ったように。そうやって作った拠りどころが人を安らがせ成長もさせるのだな。