魂に性別はあるか、三浦実子「リターン」
- 作者: 三浦実子
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湿っぽくないしゃきしゃきした人間描写と線の少ない絵柄が好きだったなあと思い、あらためて買った。文庫版の表紙は最近の描き下ろしか、絵柄が中身と結構違うのな。
中身はいわゆるTSもの。多くの漫画におけるTSものは現実における「自分の肉体の性への違和感」とは切り離して考えられているよな。肉体の入れ替わりはセクシャルなネタへと転化させやすいだろうし。
友人のバイクの後ろに乗ってて交通事故に遭い死亡、たまたま急性アル中で入院してた女の子の中に精神が入ってしまった高1男子。バイク運転してた方は、もう大事な友人を失いたくないから、何とかしてあの世に行かせないように、あれやこれやするという話。もともとの精神の入ってた女の子にもずっと好きな人がいて…と話は両輪で転がる。もちろんヤるヤらないでばたばたするのだが、ところどころに息子失った遺族の描写が出てきて、ふいに泣けたりする。
作者は魂に性別はあるかという問いにおいて一方でノーと言わせている。
*1
性自認は器に規定される程度のものなんじゃないかとここで言った友人は、後の場面でお前を失いたくないという、それは精神を指して言うのだろう。好きな人はどうなっても好きだということか。あれだなエロスじゃなくてフィリアじゃなくてアガペーだな。その意味でBLに連なるフィクションだと思った、「お前だから好きなんだ」っていう。
結末は蛇足と取るか希望を持たせる終わり方と取るか賛否両論、自分はどうもあれで最終巻だけ買ってないが、話としては起承転結がよく出来ていてよいと思う。
*1:小さくて見えないけど、魂に“こころ”とルビがふってある